講座ブログ

おめでとうございます!

第47期 日本児童文学学校や、創作教室を受講された酒井和子さんが、第20回長編児童文学新人賞、佳作を受賞されました。

おめでとうございます。いつも、楽しそうに受講されていたすがたが印象的でした。

コロナの感染で不安な春ですが、たくさんの元受講生の活躍のニュースにとてもはげまされています。

 

エネルギーをいただいて  酒井 和子

文学学校の開校日の緊張は忘れることができません。一体どんな世界で、どんな方々がいらっしゃるのだろうと、エレベータの中でドキドキしていました。

 この時出した「お薬師様」を講評していただいた感激が励みとなってその続きを書き、次いで受講した創作教室で合評していただきました。

 それが今回「長編児童文学新人賞」の佳作をいただいた『竹の風音』です。

 鎖国政策で情報が制限されていた時代、海の向こうの言葉や学問に接して好奇心を抑えられない貧しい職人の娘の話です。「女のくせに」と拒絶されながらも情熱を持ち続け、明治の新しい時代の担い手の一人として次代へとつなげていきます。

 はじめて手がけた時代もので自信がなく、果たして児童文学として通るだろうかと心配でしたが、自分ではその判断すらできません。設定した主人公の少女「かつ」がどんどんわが道を進むのを必死で追いかけ、また悩み戸惑うのに寄り添って夢中で書き続けました。

 「創作」という行為は一人でこつこつと原稿用紙を埋めていく孤独な作業という印象を持っていました。ですが、一人で書いているとすぐに限界がきて、どうしてもパターン化してしまいがちです。設定した人物やテーマへの思い入れが強すぎて一人よがりに陥るおそれや、最悪の場合、投げ出してしまいたいという誘惑に負けて未完に終わってしまう可能性もあります。

わたしは忍耐とか、こつこつ努力するということが苦手で、何にしてもいつも最後までがんばりきれません。それゆえ、文学学校や創作教室で同じ道を目指してひたすら邁進する方がたと出会えたことはとても大きいと思います。教室に入ったとたん包まれるあの雰囲気、席についただけで上がってくる心地よい緊張感。そして自分の世界を追及している仲間の情熱。厳しさはやさしさだと気付かせてくれる批評。これこそが自分の作品に向かい、推敲し、書き直し、書き上げるまでに要する膨大なエネルギーを持続させてくれるのだと思います。

今回うれしい通知をいただいたとき、まっさきに思ったのは「エネルギーをいただいた」おかげだということでした。

わたしは今72期の創作教室で学んでいます。ステイホームが余儀なくされる中、オンラインであれリアルであれ、教室のエネルギー量はますます高く、圧倒されています。

これからもそんなエネルギをーいただき、進んでいきたいと思います。

 

2021/05/12