講座ブログ

第69期創作教室に参加して

「私が物語を書く理由」  志津栄子   

 それは、さみしさからだったのかもしれません。

 創作教室に参加するまで、書くことは自分を見つめる辛い作業だったのです。

 私の中に棲みついているのは、自分の心にうそばかりついている意地っ張りな女の子や、居心地の悪さを抱えてうろうろ歩き回っている男の子たちでした。そんな不器用な人たちを解放していったら、もしかしたら私のさみしさがとけてなくなるのではないかと、ずっとそんなことを思いながら物語を書いてきました。夢中になって書き続けました。

 この春、思い切って新幹線に乗り、岐阜の山奥から東京に出てみました。

 するとそこには、今まで出会ったことのないような個性的で魅力的な人たちが集まっていたのです。キラキラ……、いいえ、ギラギラとした世界の扉が開いた瞬間でした。

 ちょっとせつないザシキワラシくん、スーパーナンセンス、ほろりとする犬のお話、SF、エンタメ、歴史物、文学の香り高い作品、なんだかエロくてドキドキしちゃうお話、胸きゅん物語、その作者たちは、お互いにどこの誰で、普段は何をしている人なのか、何も知らなくて、ただこのお話を書いている人という立ち位置がとてもここちよかったのです。初めて仲間がいるという心強さを知りました。私の作品をいつも丁寧に読んでいただいたこと、感謝しています。

 講師の先生方には、愛情たっぷりにご指導いただきました。時には優しく、時にはバッサリと。

 おかげで、書くということが、自分のためだけでなく、読む人にとっても、もしかしたら一筋の光だったり、心を温める何かになったり……。そんなふうになれたら嬉しいなと、今は思えるようになりました。

 素敵な時間をありがとうございました。書くことは希望です。

                                   

 

2019/09/28