編集部だより

『日本児童文学1・2月号』を読む会

 編集部だよりをご覧のみなさま、こんにちは。山﨑道子さんからバトンタッチをして今回より担当となりました編集部の荒木せいおです。よろしくお願いいたします。

 今回の内容は、2月27日(月)18:00よりおこなわれた「日本児童文学1・2月号を読む会」の報告です。編集部の相川美恵子さんがその様子を生き生きと伝えてくださいます。

 

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  2023年1-2月号を読む  2023年2月27日(金)18時~  リモート開催

         『日本児童文学』を読む会 まとめ

 

 皆さん、お久しぶりです、編集部員の相川です。もう3月。春が来ます。嬉しいです。

 

 ずいぶん昔ですが、私は宇治市の山の中にある人形劇団にいました。ある春のこと。どういう流れか忘れてしまいましたが、焚火を囲んでの大宴会となりました。はこべ、よもぎ、たんぽぽ、つくしなんかを総出で採りに行き、てんぷらにしたりおひたしにしたり。よもぎはもちろん団子に。意外においしいのはたんぽぽの花の天ぷらなんです。飲みかけの貴重な日本酒と湯飲みをてんでに持ち寄って、一晩じゅう騒ぎまくりました。なんせ山のなかですからね。茶畑しかありません。いくら喚いても犬がしっぽを振るぐらいです。というわけで、タンポポを見つけると、今でも「おいしそうだなぁ」と思ってしまいます。

 

 さて今年最初の「読む会」が2月27日(金)の18時から、例によってリモートで開催されました。今号は創作特集です。編集部からは司会担当の奥山編集長以下、小川さん、相川が参加。また、荒木さんは今期からの編集部員でかつ、今回のゲスト(新企画「作家とLunch」で奥山編集長とともにインタビュアーを担当)です。さらに今号に短編を書いてくださったはらさん。はらさんも今期からの編集部員です。どうぞ、よろしく。

 

 ご参加いただいた皆さんは次の通りです。小学校で図書館司書をされている川嶋さん。児童文庫を年に200冊は読んでいらっしゃいます。小誌からも年度回顧のご論考や、座談会へのご参加をお願いしています。今号から創作時評をお願いしている松嶋さん。児童文学批評家の西山さん(かつて小誌の編集長もされています)。小学校の先生のHさんは25年ぐらい前から児童文学の紹介を続けていらっしゃいます。会員で詩人のIさん。そして今回初めてご参加くださったのはOさん。幻想的な作風のものを書いていらっしゃいます。偶然にネットでこの会を知ってくださったとのこと。ようこそ!!

 

〈詩、俳句、短歌、マンガについて〉

 早速、荒木さんに口火を切って頂き、ひとまず詩からマンガまでのところで、自由に感想や意見を交わしました。歌人でもある奥山さんからは、俳句と短歌の違いについてコメントがありました。またHさんからは、子どもたちに短歌を書いてもらうこともありますよっていう、現場の先生ならではのご発言が。

 

 なかでも、はっとしたのは、西山さんからのご指摘でした。今号のテーマ「やめる?やめない?」と関係づける形で、西山さんが「だけど、子どもって、やめる前にまだ、始めてないってところがありませんか?」と問うたんです。川嶋さんからも強い同意の発言がありました。ああ、そうか、そうだね、ってリモート越しに気づきの輪が広がった瞬間です。こういうときですね、みんなで一つの作品を読む喜びを感じるのは(このタイミングで相川のおなかがぐうって鳴いたのが、個人的には情けなかったですけど)。

 

〈短編からノンフィクション、創作時評まで〉

 そうそう、皆さん、岡田淳さんのマンガはいかがでしたか?『プロフェッサーPの研究室』(岡田さんのマンガ集)を思い出させるシュールな世界が見事ですよね。

 

 田中哲弥さんの「夏休みの心得」も、どこか時空間の遠近法が溶け出しているというか、たわんでいるような作品です。いままで聴く側に徹していらっしゃったOさんですが、おずおずと次のような感想を語ってくださいました。「ボク、この主人公の気持ち、めちゃくちゃわかります。めっちゃわかる。「どうでもいい」って書かれてるの、ほんとにそうだと思いました。で、最後の「どこにでも行ける」って、なんか、すがすがしくって、前向きで、この作品、ボク、好きです」。

 

 作品が、本当にそれを求めている人のところに届いた、と感じました。作品にとっても読者にとってもこんな幸福な出会いはないですよね。その嬉しさを共有できた私たちもまた、とっても幸せだったのは言うまでもありません。

 

 こんなひどい先生っているの? いるよ、主人公の心に投影された先生像なんじゃないかなぁと話が盛り上がっている隣で、話題ははらさんの「おはなしは風にのって」へと。幼年物を書く難しさなど語り合いました。ですが、雑誌というのは不思議なものです。やめるかやめないかというシリアスなテーマに迫っていく作品が並び、タイトルからして衝撃的な「摘便クィーンのこと」(森忠明)や「幻の相模湾上陸作戦」(池田ゆみる)も控えます。優しく楽しいおはなしがここにあって良かったァ。

 

 その「幻の相模湾上陸作戦」について。荒木さんからは「作者の実家の物置に防毒マスクがあった」辺りをもっと知りたかったという発言がありました。毒ガス製造と本土上陸作戦というとても大きな事実を限られた枚数の中で同時に取り扱うのは難しいですよね。例えば毒ガスについては『大久野島からのバトン』(今関信子)という作品も出ていますし、ポイントをぎゅうっと絞って徹底的に掘り下げるみたいな作業があると、素材が素材だけに、すごく読みごたえがあるノンフィクションになるよねって話をしました。

 

 ところで、苦労が多いわりにねぎらわれることが少なく、どんなふうに書いてもたいてい文句を言われるのが創作時評欄なんです。そんな過酷(笑)な時評欄を担当いただいている松嶋さんに、今回、体験者からアーダコーダとアドバイスがありましたが、要するに「ガンバレー!!」に尽きます(笑)。作品紹介と批評のバランスをどうするか、テーマで括るか括らないか、それらに正解はなくて、その時々の担当者が格闘するしかありません。もう、好きに論じちゃってください。

 

〈「作家とLunch」&新連載など〉

 会も中盤を過ぎ時間は7時半を回ったあたり、司会の奥山さんが、では「作家とLunch」にいきましょう、第一回は石川宏千花さんです、と言い終わるやいなや「はいはい、どうしてもいいたくてっ!」と西山さんが。学校の教室なら、たぶん立ち上がった勢いで椅子ががたんと勢いよく音立てて後ろにひっくり返っていたと思う。「せっかくのLunchだよ、作家さんとランチだよ、だったら、もっと食べ物のことも含めて、普通のインタビューでは聞けないことを聞こうよっ、もっと作品から離れていいんじゃないかなっ」。これを皮切りに、まあ、皆さん、アーダコーダソーダドーダと、必死でメモを執っている私の気も知らず、「名前ノートって面白いよね」「書く側にとって、とても参考になりますよね」、「×〇△…!!」「そうそう、カジュアルなコーナーで愉しい!!」「〇〇、×!<*⁂、△△…ね!」(…相川は途中でオシゴトをやめたくなったな、うん)――というわけで、皆さんの期待を背負って新企画の開始です!!

 

 それからこの企画、まとめて本にしたいと編集長の奥山さんが言っております。そうなったら紙面の都合で割愛せざるを得なかった部分も載せられるし、メニューの写真もカラーになるかも。ううん、おいしそう(笑)。

 

 さて、最後は長谷川まりるさんの『趣海坊天狗譚』です。部落差別をテーマに据えたという作品の特異性もあり、掲載に踏み切るまでの過程はなかなかのものでした。幸い最終話までの完成原稿が上がっていたので、それをもとに編集部内で検討を重ね、長谷川さんともやりとりを繰り返しました。作家さんの表現は最大限尊重しなければなりません。同時に発表したさいの反応に対しては編集部として責任を負わなくてはなりませんし、場合によっては編集部は作家さんを守らなくてはなりません。ですから単に訂正の可否だけでなく、長谷川さんと私たちとの信頼関係を確認することもとても重要でした――。などというこちらの葛藤はそれはそれとして、長谷川さんは柔軟に手直しをしてくださいました。

 

 そんなことがあったので、川嶋さんから「面白くて面白くて」という感想が出たときは私はやったぁ、と思いました。他にも皆さんからいろいろな言葉をいただいて嬉しかったです。

 

 というわけではや、8時半を過ぎ、そろそろ会を閉じることになりました。ご参加いただいた方から一言ずついただいたのですが、その中からOさんの発言を挙げさせてください。「ボク、こういう会、初めてでした。みんなで作品について話すのって楽しいと思いました。次も参加したいです」。いえいえ、こちらこそよろしくです。

 

 ご参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。また次回もお会いできますように。

                                相川美恵子

※今回の「読む会 まとめ」は、当初ブログ内に誤解を招く表現がありましたので修正しました。お詫び申し上げます。(「日本児童文学」編集部)

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 相川さん、力のこもった報告をありがとうございます。〈作品が本当にそれを求めている人のところに届いた〉という一文、とても素敵でした。

 日本児童文学3・4月号も発行されました。読む会も企画しますので、お待ちください。

 

 

2023/03/07

本年もよろしくおねがいいたします☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。

 2023年がスタートしました! 元旦は徒歩20分の海岸に、家族3人で初日の出を拝みに行きました。砂浜へと降りずに日の出を待つ、ずらりと並んだ人の間をすりぬけ、波打ち際まで進むと、なんと気持ちのいいこと! 眩い光が放たれ始め、一斉に上がる歓声……一瞬の一体感に、体がポッと熱くなりました。白い息が妙に嬉しくて、丸い姿をみせてくれた朝日に、再度大きく柏手を打ちました。

 “今年一年が、笑顔溢れる一年になりますように!”

 

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 2023年 あけましておめでとうございます!

 今年も、機関誌の編集長をつとめてまいります奥山です。

 

 まずは、昨年末12/22(木)18:00~「日本児童文学」を読む会、の報告を少し。

 

 今回は、一年間「ハロハロ」を連載してくださったこまつあやこさんはじめ、畠山さんの本を編集されていて11.12月号のインタビューや植樹祭でお世話になったこぶな書店の小鮒さん、9.10月号に掌編を掲載され、宇都宮セミナーでも活躍されていたはやみず陽子さん、「ただいま修行中」の連載や11.12月号の「森へ川へ」の短編募集で最終選考に残った小林史人さんと酒井和子さん、小学校教員の花岡和美さん、昨年5.6月号の創作座談会に出てくださった米田久美江さん、そして、編集委員の小川英子さん、せいのあつこさん、指田和さん、次良丸忍さんなどなどが参加してくださいました。

 

 こまつさんの連載では、オンライン英会話からフィリピンのこと、そして昔話まで、まさにいろいろな文化をまぜこぜ、融合させたおもしろさについて、畠山重篤さんの「森は海の恋人」インタビューについては、これまであまり語られていない文学の側面からの切込み、全体の充実ぶりについて、そのほか、掌編やコラム記事の難しさやそれぞれの工夫について、作品を手がけたみなさんや、編集サイドのさまざまな裏ばなしなど、わいわいと語り合うことができました。

 

 雑誌作りは、企画としめきりに追われ、せっかく完成したものについて、ゆっくりとふりかえる時間がほとんどとれません。その意味では、この「読む会」でみなさんからのお話を伺い、苦労ばなしを分かち合い、あらためて一冊を味わう時間は、ほんとうに貴重ですし、元気づけられます。

 

 2023年も、なんらかの形で、このような時間は設けていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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 そして!

 2023年、新デザインの表紙の「日本児童文学」が届いていることと思います。

 

 今回の創作特集、テーマは「やめる? やめない?」。いろいろな迷いがあり、いろいろなやめ方があり、いろいろな続け方がある…。そのことを、しみじみと感じる余韻の深い作品ばかりとなっています。

 

 レジェンド畑島喜久生さんのみずみずしい詩、

 岡田淳さんのマンガ(必見!)、

 不登校の息子さんを詠んだ大口玲子さんの短歌、

 アフリカの少女の姿が印象的な味田村太郎さんのフォトエッセイ、

 田中哲弥さんの短編の「〇〇〇〇〇〇〇」という言葉(読んでみてください)、

 森忠明さんの短編の「摘便クィーン」(?!)というタイトル、

 その他、詩、俳句、掌編、ノンフィクションなどなど、とにかく、ひとつひとつの作品が、あざやかな印象を残してくれます。

 

 ゲーテに「人間は努力する限り迷うものだ」という言葉がありますが、まさに、そのさまざまな迷いが見えて、ふしぎと元気づけられる特集になっていると思います。

 

 そうした「迷い」をじっとみつめているような、平澤朋子さんの新鮮な表紙絵とともに、ぜひ味わい、また広めてください。

 

 今回からは、「作家とLunch」という編集部が総力をあげてとりくんでいる新企画もスタートしています。1回目は石川宏千花さんです。また、昨年、協会新人賞をとられた長谷川まりるさんの連載もはじまります。

 いろいろなチャレンジが続く「日本児童文学」、かさねがさね、今年もどうぞよろしくお願いいたします!!

 

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 私・山﨑が担当してきた「編集部ブログ」は今回が最終回です。温かく見守ってくださったみなさま、本当にありがとうございました。ブログ担当をお引き受けしたものの、“文章のプロ”の方々が目にするブログということで、毎回アップするときには「えいやっ!」の掛け声とともにenterキーを押していました(笑) ですから、ブログへの感想をメールで送ってくださったり、Zoom会議やセミナーなどお顔を合わせる機会があるときに声をかけてくださったり、それがどんなに嬉しく、力になったことか……心の中で、うれし泣きしていました(涙)

 ブログを読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました!

 そして、前・編集委員のみなさん、楽しいブログコメントをありがとうございました!!

 

 みなさま、本年も『日本児童文学』を、どうぞよろしくお願いいたします!

 

 山﨑

 

【お知らせ】

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★7-8月号掲載の掌編作品募集★

   「図書館」を舞台とする掌編作品(日常・非日常問わず)を募集します。

 図書館の魅力が再発見できるような、新鮮な作品をお待ちしています。

【応募資格】 どなたでも(一人一編のみ)

【締  切】 2023年2月末日(消印有効)

【字  数】 26字×80行(本文のみ、タイトルは別)

【応募方法】 2023年1・2月号に掲載の応募券貼付のこと(会員は不要)

下記まで郵送、またはEメールで。

 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂6-38 中島ビル502

           日本児童文学者協会「日本児童文学」編集委員会

E-mail : zb@jibunkyo.or.jp

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2023/01/13

11・12月号発行&宇都宮セミナー☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。

 すっかり紅葉がすすみ、景色を楽しみながらお散歩しています。でも、この間、落ち葉や木の実を両手いっぱいに拾ってしまい、学校帰りの小学生にジロジロみられて少し恥ずかしかったです。松ぼっくり8個は、ちょっと欲張りすぎました~。

 

 『日本児童文学』11・12月号は、もうお手元に届きましたでしょうか。

 今号の表紙絵も、とっても素敵♪ 落ち葉で作った大きなイチョウの葉。秋らしく、ほほえましい空気をまとっています。水色ワンピースの子のお顔を敢えて出さない、この引き算に想像力が掻き立てられます。この一枚の絵から、色々な物語が生まれてきそうです☆

 

 特集「森へ川へ」。森の深い緑、川の澄みきった青……本誌掲載の写真は白黒ですが、本文を読んでいると、鮮やかな色が浮き上がってきます。「フォトエッセイ」の大竹英洋さんの“カナダ・オンタリオ州の原野をカヌーで旅する”のページいっぱいの写真、「インタビュー」の植樹祭の大漁旗、私には川の透明感や森の力強い緑が広がりました。(……もしやこのモノクローム、“読む”を優先させ、想像力を育てるための敢えての引き算だったのか……! と、勝手に納得(笑))

 

 今号は短編募集の入選作3作品が掲載されています。挿絵がとてもいいんです。作品の世界へとスッと連れて行ってくれます。

 

 連載の「ハロハロ」(こまつあやこ・作)は今号で最終回。私はのの花と一緒に英会話を勉強していました! 頭の片隅にうっすら残っている英単語を引っ張り出し音読(笑)これが、なかなか楽しかった~☆ ハロハロという単語は、“ミニ〇〇ップのスイーツ”で耳馴染みがありましたが、ごちゃ混ぜという意味だったのですね。ラストから6行目の一文が私はとても好きです。ハロハロ、ハロー! な、気分になりました♪

 

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 11月5日(土)・6日(日)に、宇都宮で開催された児童文学セミナーに行ってきました!

 

 宇都宮市文化会館で行われたセミナーには、小学生から大ベテランまで、多くの方が参加されていました。お天気もよく文化会館横の広場の木々も色づいていて、お昼休憩は広場で過ごしている方もいらっしゃいました。

 

 久しぶりのリアル開催ということもあり、私は今まで感じたことのない緊張がありました。何といっても約2年間、Zoomでしかお会いしていない編集委員の方々と直接お顔を合わせるのですから!! 案の定、奥山さんと小川さんにご挨拶した瞬間、涙目に……感激しちゃったんです。すごく、不思議でした……テレビで見ていた人に会えたような、何だかそんな緊張感がありました。でも、言葉を交わしてすぐに距離が縮まりました。あぁ、やっぱり直接目を見てお話しするって大切! と、心の底から感じました。(あ、セミナーの報告ですよね……)

 

 セミナー会場の入り口に、機関誌のコーナーを設け、冊子のご案内やパネルを展示しました。機関誌でとりあげた特集などから、児童文学の新たな魅力・視点に出会える一冊として手にしていただけたら嬉しいです。

 

 5日の全体会の記念講演では「きむらゆういち先生」がご登壇されました。すっかりきむら先生のファンになりました。遊び心が満載で、ユーモアに富んでいて、そして誠実さに溢れていました。ご自身の作品を朗読してくださったのですが、私は『あいたくなっちまったよ』で思わず涙してしまいました。心があたたかくなる作品に出会えた、素敵な講演でした。

 

 6日の分科会も素晴らしかった! 私は「創作のためのワークショップ」に参加したのですが、何が素晴らしいって、小学生が作品提出で参加してくれていたのです! そして、その作品が、まあ、なんとも面白い! 発想の自由さが光り輝いていました☆ 上手くまとめようとせず、のびのびと物語を書く、楽しんで書き上げる。すっかり忘れていた事を、思い出させてくれました。

 

 想像以上に大満足な二日間でした。

 今後も、このようなセミナー開催時には、ぜひ参加しようと思います!

 リアルでみなさんにお目にかかれること、楽しみにしています☆

 

 山﨑

 

【お知らせ】

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Zoomオンライン『日本児童文学』を読む会

 

【日 時】 12/22(木)PM6:00~PM8:30

【テーマ】 2022年9-10月号・11-12月号

【ホスト】 奥山恵(編集長・評論家)

【ゲスト】 こまつあやこ(作家・今年の連載「ハロハロ」作)

【申し込み方法】 メールにて  megumiokuyama18@gmail.com

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2022/11/15

9・10月号の特集は「新しい「教養」のゆくえ」です☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。編集長の奥山です。

 

 9-10月号の特集は、「新しい「教養」のゆくえ」と題しまして、古典や海外名作、科学的な知識などを、子どもたちに伝えていく児童文学について、考えてみました。長年の研究やお仕事をぎゅっとまとめてくださった充実の論考&エッセイが並んでいます。

 

 また、児童文学界のレジェンドや、図書館、本屋さん、出版社さんの現場の方々に「これからも子どもたちに手渡していきたい本」のメールアンケートもお願いしました。なるほどと思う作品がいろいろ。

 

 特集を読んで、自分にとっての、また今の子どもたちにとっての「教養」のラインナップを考えてみてください。

 

 創作は、宇都宮セミナーの講師&スタッフ陣にお願いしています。きむらゆういちさん、村上しいこさん、いとうみくさんなどなどの作品も、どうぞ、お楽しみください。(7-8月号には、石津ちひろさん、最上一平さんの詩やエッセイも!)そして、宇都宮セミナーにも、ぜひご参加ください。

児童文学セミナーin宇都宮 2022/11/5~6開催!|イベント|日本児童文学者協会ホームページ (jibunkyo.main.jp)

 

 こまつあやこさんの連載『ハロハロ』も、ぐぐっと世界が広がってきました。そのほか、よみどころいろいろあります。ご感想もぜひ、編集部にお寄せください。

 

 ひとつ、ニュースです。

 編集長奥山がひらいている書店ハックルベリーブックス(千葉県柏市)では、9月~10月に、今年3回表紙を描いてくださった千葉史子さんの表紙原画を展示しています。

店長からのお知らせ - 文化の秋、芸術の秋… (huckleberrybooks.jp)

 お近くにお越しの際、ぜひ、見に来てください!

 

 ※

 最後にちょっとおわびを。

 

・9-10月号の「情報館」(p.96-97)の「第37回福島正実記念SF童話賞」の募集締め切りが「9月末日」となっていますが、これは「2023年9月末日」です。他の募集は、今年がしめきりですが、こちらは来年です。まぎらわしい記載になってしまい、すみません。ご注意ください。

 

 奥山 恵 

 

2022/09/14

7・8月号の「読む会」ご報告☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。

 

 7月20日(水)に第26回編集会議をZoomで行いました。今回の会議のメインは、「テーマ:森・川」で募集をした短編作品の最終選考です。短編ということで、読む分量もたっぷり! 約2時間じっくりと選考し、掲載作品を決定いたしました! 入選作は11・12月号に掲載いたします。楽しみにお待ちください。惜しくも掲載には至らなかった作品たち……でもその中には、私推しの作品がいくつもあります! 楽しくてつい笑顔になってしまう作品、森や川の美しさに浸れる作品、心に響く言葉もありました。投稿してくださったみなさん、本当にありがとうございました! またどこかでみなさんの物語と出会えることを、楽しみにしています!!

 

 8月22日(月)に、日本児童文学7・8月号の読む会をZoomにて開催いたしました。参加した編集委員の相川さんからのご報告です。

 

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 皆さん、お元気でしょうか。編集委員の相川です。

 さて、7-8号はホラー特集。開始はいつもの通り18時半、今回は特集にちなんで募集した「こわい話」に入選された書き手さんのうち、伊東未夜さん、いまたあきこさん、たかつきせいさんが参加してくださいました。ゲストは編集委員の指田和さんです。それから、小学校の先生、図書館職員の方などなど。あとから、今号にエッセイを寄せてくださった緑川聖司さんも。緑川さん、問われるままに語ってくださるものだから、なんだか、「緑川聖司ミニミニ創作教室」って感じに! すごく得した気分(笑)になれたひとときでもありました。

 

 例によって、司会の奥山編集長から特集についての概要が紹介され、ついで指田さんから「お化け屋敷プロデューサー」の五味さんにインタビューしたときのこぼれ話などを披露してもらいました。ストーリーを作ることがいかにお化け屋敷の可能性を広げたか、ということなんですよね(とはいえ、どれだけ可能性が広がっても、相川は行かない、ダメ、怖い……どうしても……怖い……情けないので小さい字でそっと書いておくノダ…)。

 

 編集委員が総力を挙げた「ホラーブックガイド」には好意的な意見が寄せられて嬉しかったです。「②戦後の名作」を担当した小川英子さんから、大海赫の発掘に至る過程を語ってもらうと、参加者のおひとりから「私、大ファンなんです!」という声も挙がりました。実は、御年90歳を越えられた大海さんからなんとかエッセイ原稿をいただこうと、編集委員全員の期待を背負って交渉に奔走した末あえなく撃沈した奥山編集長から、「あと一歩で原稿が!」までを語ってもらいました。

 ほかにも岩本敏男の再発見や、『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション』『怪談えほん』シリーズで怪談オタクぶりを遺憾なく発揮している東雅夫との出会いなど、悪戦苦闘しただけのことはありました。

 それにつけてもピアス、マーヒー、ウェストールらの巧みなこと。③戦後の名作を担当した奥山編集長曰く、「本当に怖いんだけれど、最後に温もりを感じさせてくれる、必ず希望を添えてくれるところがね、児童文学なんだよね」。

 

 安東みきえさんの『夜叉神川』についても編集委員会のなかでは話題になっていました。協会賞を受賞された時も「だよね!!」って嬉しかったです。『夜叉神川』については、いまたあきこさんが、今号に掲載された安東さんのエッセイを併せて読まれて、お父様との辛い体験があってこその作品ですねと、感慨深げにおっしゃってくださいました。また、たかつきせいさんからは、人の悪意がむき出しになった時の怖さと怪異そのものの怖さ、この二つが重ねられているところが本当に秀逸で、と感嘆の声が。

 

 ところで、話は「こわい話」掌編募集に入選された作家、作品に移ります。伊東さんは、ホラー作品というのは表現者として冒険ができるんじゃないかなっておっしゃっていました。妖怪が大好きだというたかつきさんは、妖怪っていろいろいて、とにかく多様なんです、でも、一歩間違うとそれが転じて凄い災いをもたらす存在になります、そこが魅力なんです、と熱く語ってくださいました。いまたさんからは、結局自分が体験したり知っていることしか書けないですね、という書き手さんならではのつぶやきも。

 参加者同士で作品の感想を交換しつつ、といったあたりで緑川さんが「あっ、ボクね、ホラー書いてるつもりないんです、怪談、書いてるんですヨォ」と。一同、「……?」。

 

 というわけで緑川聖司ミニミニ創作教室が急遽始まったのです。で、さくっとまとめてしまいますが、緑川さんに言わせると、子どもは「怖がりたい」のではなく「面白がりたい」のだ、だから怖さの追求ではなく、いかに子どもを楽しませるか、が大事。というからには何よりもまず、わかりやすさが大切。そもそも、子どもは何回も読み直してくれたりはしないから。と、お金を取って話すような貴重かつ基本的なことを惜しげもなく語ってくださるんです。アッ、もう一つ、何が怖いかって、自分がよく知っている日常生活の中で、何かが起こるのが一番こわいんだよねって。これには「そうそう」って参加者も納得です。「だからね、作家の力を磨くにはうってつけなんです。日常の中に違和感を一つ放り込んだら怖くなるんだから。書く力をつけていくにはいい素材」。緑川さん、それってキギョウヒミツじゃないの?!

 

 そんなこんなで話は続いたのですが、相川は、実はこのあたりから、(この話し合い、どないにまとめたらええんかいな、やばいな、)と自分のことばかり考え始めていました。なので、もしかしたら大切なことを聞き逃しているかもしれません。悪しからず……。

 

 最後に二つ。一つはいつも参加してくださる小学校の先生から、「プレイバック『日本児童文学』についての感想をいただきました。毎回このコーナーを楽しみに読んでいますという前置きに続いて、今回の教科書攻撃問題に関する記述には大変に驚いたし、これは貴重ですね、ということでした。この件はもちろん協会の歴史に残るものです。一歩も引かずに向き合った当時の協会の姿勢を記憶していきたいと思います。

 もう一つは今回の応募原稿について編集委員サイドから。今回いただいた原稿は、残念ながら入選には至らなかった方のものも含めて、熱量があったし、文章の密度も高かったです。そのことに編集者一同、深く感謝し、また、学びました。ありがとうございました。

 

 今回のご報告はここまでです。最後まで読んでくださってありがとうございます。また次回、お会いしましょう。  

 

 相川美恵子 

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 毎回、読み手を飽きさせないテンポのよさで報告してくださる相川さん。ありがとうございました。今回もクスっと笑いながら読ませていただきました!

 

 12月まで、旧・編集委員がブログを担当いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 では、またご報告いたします!

 

 山﨑

 

2022/08/26

6月24日「読む会」のご報告☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。

 

 6月15日(水)に第25回編集会議をZoomで行いました。

 7-8月号は、お手元に届きましたか?! 

 特集は「ホラー? horror?! ホラー!」☆ まず表紙絵で、ゾクッとしちゃいました!

 内容ももちろん、じわじわと寒気が襲ってくるような、夏にぴったりのラインナップ! ですが、ただ怖いだけではありません。ホラーについての深掘りが興味深い、読み応え抜群な一冊です。

 掌編募集の「こわい話」入選6作品も掲載しています! 入選のポイントなど、選考経過をお読みいただければと思います。

 「ホラーブックガイド」では、古典的名作から電子書籍まで、30作品を紹介しています。ホラー好きな方もそうでない方も、これをきっかけにホラー作品をお読みいただけたら嬉しいです!(←ご感想を、読者のページにお寄せいただけたら、さらに嬉しいです!) 

 詩・短歌・短編、エッセイ、お化け屋敷プロデューサーへのインタビューなど、様々な角度からの「ホラー」が盛りだくさん! ぜひ、ご堪能ください♪

 

 6月24日に『日本児童文学5-6月号』特集「子どもの文学この一年」の“読む会”がオンラインで開催されました。出席された編集委員の相川美恵子さんが会の様子をまとめてくださいました!

 

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 こんにちは、編集委員の相川です。

 今、このブログを書いているのは6月後半、京都は連日35度ぐらいあります。なんと梅雨は開けてしまった!!

 でもって参議院選挙のさなかです。地上は猛烈に暑いのですが、ある友人から、SNS空間はさながら地獄の窯のごとく煮えたぎっているよと言われ、遅ればせながら少し覗いています。ついでに以下の本を読みました。

 

・伊藤昌亮『炎上社会を考える 自粛警察からキャンセルカルチャーまで』中公ラクレ2021

 

 いやあ、若い人たちはこういう社会を泳いでいるのか……。じゃないない、私たちはこういう時代を生きているのか……。電話代わりにしかスマホを使わない私には、SNSの世界はまさにホラーでした。

 

 さて、いつものように「日本児童文学」を読む会の報告です。今回は6月24日午後6時半から9時まででした。5-6月号は年度回顧の号です。

 ご参加いただいたのは座談会にご出席くださった米田さん、林さん、総論を書いてくださった横川さん、児童文庫の年度回顧を書いてくださった川嶋さん、創作時評をご担当いただいた荒木さん、「ただいま修行中」の執筆者である小林さん、清木さん。他に一般の方のご参加もありました。ゲストは座談会を仕切ったわれらが編集委員の東野さんです。司会はいつものように編集長の奥山さん、NHKの『日曜討論』よりずっと上手い采配ぶりでしたよ。

 でもって、今回はかなり焦点が絞られた感じで進みましたし、今後につながる重要な指摘も出てきましたので、そこを中心にまとめてみました。

 

 

1.年度回顧は難しい!

 

 新刊を網羅的に読むということが、物理的にも難しい。また、新しいテーマを取り上げている作品に目が行きがちで、文学的な方法論を突き詰めて新しい可能性を拓こうとしている貴重な作品などを取りこぼしてしまう。座談会、総論、各論を問わず、この点については、具体的な作品名も挙げながら、意見が交わされました。

 エスニックマイノリティ、LGBTQ、コロナ、SDGs、SNS社会などなどの新しいテーマに果敢に取り組んでいる作品には注目しなければならないが、他方、「どう描くか」という文学的形象の水準が追い付いていない場合もある。何を描くかということはどう描くかという問題を引き寄せずにはいられないのに、取り上げましたよ、で終わっている場合もある。このあたりも具体的な作品を挙げながらの討論になりました。

 

 

2.批評なのか、紹介なのか。

 

 これも悩ましい問題。年度回顧に限らず、創作時評においても、批評なのか、紹介なのかは、編集サイドでも毎回、迷いつつ、いただいた原稿を拝読している。いやいや、苦闘しております。年度回顧や時評の記録的な価値を大切にしようとすれば、できるだけ多くの作品を挙げておきたいということになるし、読者に多様な作品を知ってほしいとなれば、やはり「紹介」に重点が置かれる。

 一方、その作品を「わたし」はこのように読んでみました、という評論は、作品を読むという行為の持つ創造性を伝える大事な文学的作業であり、批評を軽視する姿勢は児童文学というジャンルの足腰を弱めてしまう。ここで、会での相川の発言をエラソウに挙げさせていただくと、「作品に対する最大の敬意の払い方は、作品と責任をもって向き合い、私はこのように読みましたと論じることだと思います」。ちょっとカッコいい。が、天井に唾を吐くとはこのことで、相川自身は、まだまだ、真摯にかつ、責任をもって逃げずに、作品と向き合っているかと言われると、ココロモトナイ……。

 気の弱い相川に代わってここで荒木さんが、かつては、もっと闊達に作品批評をしてたよね、喧嘩みたいになったこともあったよ、と当時のエピソードも交えて語ってくださいました。

 要するに、「日本児童文学」という雑誌で全部をやろうとするところにそもそもの無理があります。と言っても、現実的には定期的に評論を掲載できる媒体は小誌以外にはほとんどないわけで、とはいえ、読者に「読んでね」って楽しく紹介もしたいし、あれもやりたい、これもやらなくちゃ、みたいな状況の中で、今までの編集委員も試行錯誤してきたし、これからも試行錯誤していくしかありません。

 

 

3.ネタバレは?

 

 座談会や総論において、物語の結末まで話してしまうこと、書いてしまうこと、いわゆるネタバレをめぐってやりとりがありました。一般的な傾向として、書評などを依頼される場合にネタバレさせないでほしいと言われることもあるようです。また、それこそ評論か紹介かによっても変わってくるよねという話でしたが、小誌の座談会や評論などでは自由に語ってもらい書いてもらうことを基本にしています。

 

 

4.いわゆる児童文庫をめぐって

 

 今回、児童文庫関係の年度回顧を書いてくださった川嶋さんは、小学校の図書館司書をされています。児童文庫は新刊数も膨大で、かつ、子どもたちにとって最も身近にあるジャンルです。にもかかわらず小誌でも、この分野の大切さをかねてから痛感しつつその動向も追えていない状況です。そこで、川嶋さんに、子どもたちはどうやってあの文庫の海の中からお気に入りを見つけてくるのかということ、また、川嶋さんご自身はどのように溺れることなくその海を泳いでいらっしゃるのかとお尋ねしました。

 

 川嶋さんいわく、「子どもたちがどうやって本に出合うか、ですか? それはまずは口コミですね。友達に薦められて。で、その中でも自分に合う、合わないっていうのがあって、だんだん自分が読みたい本がわかってくる感じかな。その次は本の中に挟まっているしおりです。しおりにいろいろな作品の紹介があるでしょ。そこから自分に合いそうなものを見つけてくるんです。」

 

 「私はって言うと、最初は全然、どこから手を出したらいいかわからなかったんですけど、あるとっかかりから、少しずつ手探りで。子どもから、どんな本を読んだらいいのって聞かれて、一生懸命に探して紹介したり、この子にはこの本かな、あの子にはこの本かなって続けてきました」。

 スゴイ! 一番理想的な本の手渡し方かも。

 

 

5.「ただいま修行中」あれこれ!

 

 このコーナーの書き手から、今回、小林さんと清木さんがご参加くださいました。お二人から出た質問が「日にちのある原稿は難しいですね」ということでした。原稿を書いている時点と、掲載された雑誌が発売される時とはかなりずれていますから、確かに書きづらい。他にもいろいろとご発言いただきました。で、結論的には、担当者に預けた枠ですから、どう描くかも含めて自由に書いていただいて構わないです、ということを編集からは申し上げました。非常に限られたペースにぎゅっと言葉をまとめなくてはならないという制約を逆手にとって、それぞれの個性を存分に発揮していただければと思います。

 

 

 

 こんなところでしょうか。今回は相川らしくない生真面目な報告レポートとなりましたが、たまにはこういう文章だって書けますよってところで、またまた、次回ね。

 

 相川美恵子

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 相川さんらしい生真面目さたっぷりのレポートを、ありがとうございました♪

 

 6月末締め切り短編作品募集へのご応募、ありがとうございました。その数、47作品!! ズラリと並んだタイトルを見ただけでも、わくわくしています! すべての作品に敬意と感謝を申し上げます! これよりじっくり選考させていただき、入選作品は11-12月号に掲載いたします。

 私は今、「森・川」の物語で奥山編集長が薦めてくださった『クロニクル千古の闇』(ミシェル・ペイヴァー=作 さくまゆみこ=訳)のシリーズを夢中になって読んでいます。大自然の中で生きていく逞しさはもちろんのこと、少年から青年へと成長していく姿から目が離せません。午前零時の風とヒーリング音楽と共に、物語の世界を楽しんでいます。

 

 また、ご報告いたします!

 

 山﨑

2022/07/08

短編作品を募集中です☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。

 

 5月18日(水)に第24回編集会議をZoomで行いました。

 

 7・8月号は最終調整の段階です。特集の「扉」について色々な意見が出ました。指田さんのアイデアがシンプルかつ斬新でした! 「扉」にもぜひご注目ください☆ 

 

 9・10月号も着々と進んでおります。この号は執筆依頼の作家さんの中に、私の大好きな作家さんの名前が並んでいて、今から原稿到着が楽しみです! 初校ゲラの校正作業でその作家さんの原稿が届くといいなぁ~、など勝手にワクワクしています。

 

 これから煮詰めていくのは11・12月号。特集は『森へ川へ』を予定しています。前回・前々回のブログでもお知らせしておりますが、この号に掲載する短編を募集しています! 400字詰め原稿用紙10枚程度(詳細は下記をごらんください)で、みなさんの「森」「川」の物語をぜひお寄せください。森や川の魅力が伝わる物語、森や川の問題を共有できる物語、森や川を舞台にしているからこそなりたつ物語……などなど、楽しみにしています。

 

 11・12月号掲載の「同人誌推薦作品」の選考も行われ、長時間にわたり意見の交換がなされました。同じ作品でも、読み手によって本当に感じ方が違うのだと改めて勉強になりました。熱い議論が交わされる中で、間中さんが「作品を書くことを楽しんでいる作品がいい」とおっしゃいました。その言葉にハッとさせられました。「上手く」ではなく「書くことを楽しむ」という気持ち、「書きたい」の原点を思い出しました。推薦作品の選考は白熱していきます。「既視感がある」「“核”となるキーワードがない」「着想がいい」「色々な解釈ができるのもあり?」「書きつつ裏切るのも面白い」「深読みすると、とてつもなく怖い作品!」「死を美化していると誤読される恐れがある」「自由に読まれてもいいが、このようには誤読されたくないというところには、書き方の工夫が必要」など、違った視点からの様々な意見が出ました。一作品にかける議論の時間の長さに、相川さんが「こんなに意見を出してもらえるなんて、この作品は幸せだ!」の声も飛び出しました。選考している側ではありますが、「創作」に対する多くの気づきを得られた時間でした。

 

 先日、図書館で『タフィー』『詩人になりたいわたしX』『わたしは夢を見つづける』を借りてきました。『日本児童文学』5・6月号の「総論」「翻訳」で取り上げられた翻訳作品。「最近海外では、詩の形で書かれたYA小説が流行っているのよ! ぜひ読んでみて!」と、“『日本児童文学』1・2月号の読む会”(2022.2.22開催)にご参加の加藤純子さんも注目されていた作品です! 新しい形の小説の世界を楽しみます☆

 

 山﨑

 

【お知らせ】

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Zoomオンライン『日本児童文学』を読む会

 

【日 時】 6/24(金)PM6:30~PM9:00

【テーマ】 2022年5・6月号

【ホスト】 奥山恵(編集長・評論家)

【ゲスト】 東野司(編集委員・作家)

【申し込み方法】 メールにて megumiokuyama18@gmail.com

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★「日本児童文学」11・12月号 短編作品募集!

「日本児童文学」2022年11・12月号は特集「森へ川へ」を予定しています。それにちなんで、「森」または「川」をテーマにした短編作品を募集します!

 協会員内外、どなたでもご応募いただけます。ふるってご応募ください!

 

《作品・募集要項》

▼「森」「川」のどちらか一つを選んで応募してください。

 

【応募資格】どなたでも!!

ただし、本誌5・6月号の「応募券」を同封すること。

【締め切り】2022年6月末日(消印有効)

【字  数】26字×161行(400字詰原稿用紙換算10枚程度・タイトル別)

      一人一編のみ

【応募方法】〒162-0825

東京都新宿区神楽坂6-38 中島ビル502 日本児童文学者協会

「日本児童文学」編集委員会宛

※「応募券」の同封をお忘れないようお願いします。

 

◎作品の選考は、編集委員会がおこないます。入選作は本誌に掲載し、所定の原稿料をお支払いいたします。

 

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2022/05/21

『日本児童文学』5・6月号☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。

 

 ゴールデンウィークの最終日は「母の日」。離れて暮らす娘からプレゼントが届きました♪ 高級レトルトカレーとご当地“柿の種”! カーネーション柄のカードには手書きの近況報告と感謝の言葉。相変わらずの右上がりのくせ字から、元気をもらいました。ありきたりな言葉でも手書きの文字はあたたかくて、何度も読み返してしまいました♪ 

 

 『日本児童文学5・6月号』はお手元に届きましたでしょうか。

 

 表紙絵がとっても素敵です! 読書をする子どものアンニュイな表情に、つい見とれてしまいました。グリーンとブルーの淡い色合いや、色鉛筆のタッチの柔らかさに癒されます。目次のページにある《表紙のことば・千葉史子》は絵に立体感を持たせ、楽しみの幅を広げてくれます。

 

 詩はどちらも爽やかな五月の風を感じました。「青空の青」で“できたて”の“青空”の色を想い、「お茶」で香り豊かな緑茶が飲みたくなりました。

 

 絵童話「ピースケのいえで」は、とってもキュート! ドキドキするミドちゃんとおおらかなのぶちゃん。ピースケを含むぬいぐるみたちのこそこそおしゃべり。ほっこり笑顔になる絵童話です。絵の愛らしさに目も楽しませてくれます♪

 

 ノンフィクションで「カメ」を見る目が変わりました! “恐竜が生きていた時代に、カメがいた”のですね。そして恐竜博物館の薗田研究員のカメを研究し続ける姿勢や子どもたちへのメッセージが胸に響きました。

 

 掌編の二作品は、独特の世界観が楽しいです。掌編の短さでも入れ子構造がキラッと光る「図書室のねこ」、はたまた少年の想像力が爆走する「ヒーローは変幻自在」。両作品から“書く事を楽しむ、楽しみながら書く”、そんなメッセージを受け取りました!

 

 今号の特集“子どもの文学この一年”。多くの作品が紹介されています。恥ずかしながら、未読の作品ばかり……これから読まねば! と力が入ります。

 

 総論・翻訳の両方に取り上げられた翻訳作品『タフィー』『詩人になりたいわたしX』『わたしは夢を見つづける』はいずれも詩の形で書かれたYA小説。テーマは少し重そうですが、読みやすいということなので機会があったら手に取ってみたいと思います。

 

 絵本とノンフィクションで紹介された『二平方メートルの世界で』もぜひ読んでみたいです。

 

 詩・童謡では“社会的事象を文学作品に昇華させる作業は、後世に、事実だけでなく、当時を生きる人々の心模様をも伝えていく。”の一文に深く頷きました。

 

 評論・研究で挙げられた『かこさとしと紙芝居 創作の原点』は、もっと知りたくなりました。

 

 最近、児童文庫をよく読むようになり、気になっていた作品が次から次へと紹介されていてワクワクしました! ……読みたい本が多すぎる!!! 『大人も知りたいすごい児童文庫教えます』から読もうと思います☆

 

 2021年創作座談会「コロナ禍とネットワークと――どうつながるか」も、興味深く読みました。取り上げられている『青く塗りつぶせ』『Mガールズ』『みんなのためいき図鑑』、どれも面白そうです! 座談会での作品に対する感想はざっくばらんに語られていて、親近感が湧きます。自分だったらどう感じるだろうか……と頭の片隅におきながら作品と向き合う楽しさも生まれます。総論や児童文庫でも紹介されていた『#マイネーム』『セカイを科学せよ』『サバイバー』も、読みたい本リストに追加決定です!

 

 そして、ぜひおすすめしたいのが「プレイバック『日本児童文学』その9」。設問に対して8人の作家による回答が載っています。中でも私は灰谷健次郎氏の回答が刺さりました。“子どもたちが必要としている大人”が、45年前も今も変わっていないと感じました。大人になってだいぶ経ってしまった自分に向けられた言葉として受け止め、気持ちを引き締めました。

 

 連載の「ハロハロ」で“ハロハロ”の意味を知りました! と、近所のコンビニに行きたくなり、そわそわ……。いつか私も本場のハロハロを食べてみたい♪ 

 

 

 今号は短編募集の応募券付です。(“投稿作品賞”の応募券とお間違いないようにご注意ください!)締め切りは6月末ですので詳細をチェックして、ぜひご応募ください!

 

 

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【お知らせ】

★「日本児童文学」11・12月号 短編作品募集!

「日本児童文学」2022年11・12月号は特集「森へ川へ」を予定しています。それにちなんで、「森」または「川」をテーマにした短編作品を募集します!

 協会員内外、どなたでもご応募いただけます。ふるってご応募ください!

《作品・募集要項》

▼「森」「川」のどちらか一つを選んで応募してください。

【応募資格】どなたでも!!

      ただし、本誌5・6月号の「応募券」を同封すること。

【締め切り】2022年6月末日(消印有効)

【字  数】26字×161行(400字詰原稿用紙換算10枚程度・タイトル別)

     一人一編のみ

【応募方法】〒162-0825

      東京都新宿区神楽坂6-38 中島ビル502 日本児童文学者協会

      「日本児童文学」編集委員会宛

※「応募券」の同封をお忘れないようお願いします。

◎作品の選考は、編集委員会がおこないます。入選作は本誌に掲載し、所定の原稿料をお支払いいたします。

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 次回の「『日本児童文学 5・6月号』を読む会」の日程が決まりましたら、またご報告いたします☆

 

 山﨑

 

2022/05/09

3・4月号読む会のご報告☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。

 

 4月15日(金)に『日本児童文学』(3・4月号)読む会をZoomにて行いました。編集委員で評論家・研究者の相川美恵子さん(当日はゲストとして参加)が、読む会の報告をしてくださいました!

 

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 桜の季節は終わってしまいましたが、最寄りの商店街には今年も燕たちが巣に戻ってきました。燕の子育てを見守るのが、この季節の私のささやかな楽しみです。
 さて、4月15日(金)PM6時半から、「日本児童文学 3-4月号」を読む会がありました。この号は那須正幹さんの追悼号です。ご論考を書いてくださった村中李衣さんが岡山から、くぼひできさんが広島から、西山利佳さんが埼玉から、参加してくださいました。時評を担当してくださっている荒木せいおさんは東京から、そして小学校の先生をされている女性の方は千葉から。ワクチン接種の副反応でお辛いなかを参加いただいた方は東京だったかな。リモートでなくては成立しない会ですよね。皆様、本当にありがとうございました。
 それから、今回は特別に、最初の30分ほどですが、中国新聞の若い女性の記者さんもご参加くださいました。この号を中国新聞で取り上げて頂くことになったんです。嬉しいです。

 初めに、採録作品に「ビー玉」を選んだ理由を、少し詳しく編集のほうから説明させていただいて、すぐに話題は那須作品論に移りました。今回、追悼特集を編むにあたっては、方法的な視点から、つまり何が描かれているかということ以上に、どのように描かれているかということに迫りたいということがありました。そしてまた、それぞれのご論考がそれ視点から那須作品の「方法」に迫ってくださっています。

 というわけで、前置きする間もなく、早速にいくつかの作品のエンディングをめぐって発言があり、応答があり、それがまた次の発言に引き継がれ、リモート越しに参加者の皆さんの熱量が行きかう対談となって……その一つ一つがとても刺激的で面白かったのですが、なにしろ書記としてこの会の内容をまとめる立場であることを私自身がいつの間にか忘れて、その、なんと言いますか……つまり夢中になって参加しておりまして、詳細なメモを取り忘れる始末。
 そこでこの際、ひっくるめてまとめてしまいますと、『ぼくらは海へ』『ねんどの神さま』のみならず幼年ものも含めて、那須作品のエンディングには、おっと思わせるものがあるんだけれど、それをどう評価するかというと、結構、難しいねっていうことになる。ただ、個別の評価よりも、那須さんが子どもたちに手渡した多様な作品群全体が、全体として子どもたちに何を伝えているかということのほうが大事じゃないのって、これは村中さんが繰り返しおっしゃいました。個々の作品から何を読者に読み取ってほしいかっていうことよりも、多種多様な物語に出会った読者が、それらと出会ったことを通して、その後、読み取り体験の後に、何かを自分たちの中に育てていってほしい、そんな姿勢が一貫しているんじゃないの、って。
 だからエンディングって実はないんだよ、っていうか、何回もある、そんなんじゃないかな、みたいな。西山さんや奥山さんもそうそうって。このあたりで、村中さんは「最終電車に間に合わないの!」ということで退席。で、退席されつつも(?)、ぜひ読んでほしいと紹介してくださった作品が『奥畑村のゆかいな仲間』(偕成社1978)です。「励ましを受けた人は終わらないんだよ、絶対に、そのことを信じてたと思うよ、那須さんは」と、村中さんの声は次第に遠ざかっていきました……(この辺りはもちろん相川の演出です、実際はあっけなく画面が落ちました)。

 こうして、エンディングの話で始まった「読む会」はなかなかエンディングしなかったのですが、最後に小学校の先生が、実際に『ねんどの神さま』を5年生に読み聞かせた体験を語ってくださいました。子どもたちはちゃんと内容を読み取っていたこと、同時に「えっ、これで終わりなの」「続きが読みたい」という声が多数あったこと。子どもたちが那須さんにお手紙を書いたこと、そして那須さんから丁寧なお返事が子どもたちに届いたこと、そのお手紙の中で「居心地の悪さを感じてください」「続きは皆さんで書いてください」「このお話しの続きは、今の日本のありようを見ればわかりますよ」といった内容のことが書かれてあったこと、を教えてくださいました。胸に刺さる言葉です。とりわけ、2022年4月末、核兵器の使用が現実的になってきた今にあっては。

 とてもよい会でした。ご参加くださった皆様に、そして那須正幹さんと那須さんが遺したたくさんの作品に、心からお礼申し上げます。

相川美恵子

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 中国新聞4月22日(金)の朝刊に、追悼号についての記事が掲載されました。これをきっかけに、さらに多くの方に手に取っていただけると嬉しいです。

 

【お知らせ】

★「日本児童文学」11・12月号 短編作品募集!

「日本児童文学」2022年11・12月号は特集「森へ川へ」を予定しています。それにちなんで、「森」または「川」をテーマにした短編作品を募集します!

 協会員内外、どなたでもご応募いただけます。ふるってご応募ください!

 

《作品・募集要項》

▼「森」「川」のどちらか一つを選んで応募してください。

 

【応募資格】どなたでも!!

 ただし、本誌5・6月号の「応募券」を同封すること。

【締め切り】2022年6月末日(消印有効)

【字  数】26字×161行(400字詰原稿用紙換算10枚程度・タイトル別)

     一人一編のみ

【応募方法】〒162-0825

      東京都新宿区神楽坂6-38 中島ビル502 日本児童文学者協会

      「日本児童文学」編集委員会宛

     ※「応募券」の同封をお忘れないようお願いします。

 

◎作品の選考は、編集委員会がおこないます。入選作は本誌に掲載し、所定の原稿料をお支払いいたします。

 

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 次号5・6月号の特集は「子どもの文学この一年」です!

 昨年一年間に出版された子どもの本について、ジャンル別に振り返り、検証しています。どうぞお楽しみに☆

 

山﨑

 

2022/04/27

3・4月号の感想と裏話☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。

 

 3月16日(水)に、第22回編集会議をZoomで行いました。

 まずは、“ホラー掌編作品募集”へ、投稿してくださったみなさま、ありがとうございました! なんと51編もの作品が寄せられました! 編集委員全員で読ませていただき、只今選考中です。夏にピッタリなホラー作品を7・8月号に掲載いたします! 楽しみにお待ちください☆ 

 そして、そして、「もう少し長い物語が書きたい!」というみなさん、お待たせいたしました! 11・12月号へ向けて、短編を募集します! テーマは「森」「川」です☆ 今回はどなたでもご応募可能なので、ふるってご応募ください! (詳細はブログ内の“お知らせ”をご覧ください)

 

 今月は3・4月号の座談会にもご参加くださった、ズッコケファンクラブ会長の飯塚宣明さんがコメントを寄せてくださいました。

 

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 『日本児童文学編集部だより』をお読みいただいている皆さん、こんにちは。

 ズッコケファンクラブ会長・飯塚宣明(いいづかのりあき)です。

 皆さん、『日本児童文学2022年3・4月号』はもうお読みいただけましたでしょうか?

 この号では、2021年7月22日に亡くなられた那須正幹先生の追悼特集を組んでいただいておりまして、私もその座談会に宮川健郎先生、牧野節子先生とともに参加いたしました。

 私はふだん、児童文学とかかわりのない会社に勤めておりますので、仕事が休みの日でないとそうした集まりには出席することができず、座談会は事前に日程調整していただき、出席者の皆さんにとって都合のいい2021年11月28日(日)、日本児童文学者協会事務局に集まって、那須先生の代表作『ズッコケ三人組シリーズ』を中心に大いに語り合いました。

 どのようなことが語られたのかは『日本児童文学2022年3・4月号』をお読みいただければお分かりになりますが、この『編集部だより』でしか知ることのできないお話をちょっとだけいたしますと、この座談会は当初の予定時間を大いにオーバーして、本編には載せきれない『ズッコケ』や那須先生に関するお話がたくさん出ていました。

 本編を読みますと皆さんがバランスよくお話になっておりますけれども、座談会では私がかなりの時間、お話ししております。

 これを見事にまとめられたのが奥山恵編集長でして、座談会が終わってから1週間ほど経って届いた座談会記事の原稿は、すごくよくまとまった内容になっておりました。

 これを座談会出席者めいめいが確認して何度か校正していくわけですが、私も以前に年一度、ズッコケファンクラブ会報『ズッコケタイムス』を作っていたので、校正経験はあったものの、あの当時はゲラ刷りのペーパーに赤ペンで校正記号などをまじえつつ手直ししていましたから、今回のようにメールの添付文書をひらいて、パソコンの画面に向き合いながら校正しますと、(時代は変わったなあ)と感慨深いものがありました。

 年が明けて最終校正が届き、私の発言での固有名詞部分がすべて『』(二重カギ括弧)で括られていたときには、(日本児童文学者協会の機関誌はこんなにも丁寧に正確に作っておられるんだなあ)と思い、そのプロ意識の高さに思わず、(あとはすべてお任せして大丈夫だなぁ)と思った次第でした。

 その期待にたがわず、『日本児童文学2022年3・4月号』が本になって私の手元にどど~んと届いたときは嬉しかったですね。

 今後、那須先生のことはこの一冊を読まずして語れないだろうというくらい、那須先生にゆかりのある方々がこぞって寄稿され、その思いが凝縮された本ですから、私もちょっと多めに買わせていただいて、那須先生のお仕事や『ズッコケ』がお好きだった、私のお知り合いにお送りしたものでした。

 そうしましたら、多年にわたる『ズッコケ』ファンの方から、まだその中身もよく読んでいないうちに「貴重な一冊を本当に本当にありがとうございます。とにかくお礼を言いたいです」と感謝のお手紙がすぐに返ってきました。

 また、日本児童文学者協会事務局が献本されたのでしょうが、那須先生の奥様から私に「先日は『日本児童文学2022年3・4月号』を送っていただき、とても感謝しています。皆様のエッセー、メッセージ、論考など嬉しく読ませていただき、座談会の飯塚さんの発言はとてもリアルで目に浮かぶようでした」とおはがきが届き、那須先生の奥様もとても喜んでおいででした。

 最後に・・・。

 那須先生は子供の頃から映画がお好きだったと、以前伺ったことがありました。

 私、数年前から見たいと思って買っておいたDVDがあって、それをつい最近、奥さんとふたりで見ました。

 1970年に公開されたイタリア、フランス、ソビエト、アメリカの合作『ひまわり』という映画で、そのオープニングとエンディング、ひまわりがどこまでも果てなく咲いているシーンは、ソビエト連邦時代のウクライナで撮影されたものです。

 この映画の中盤、地平線までつづく一面のひまわり畑のなかで「ひまわりやどの木の下にも 麦畑にも イタリア兵やロシアの捕虜が埋まっています そして無数のロシアの農民も 老人 女 子供・・・」という台詞があります。

 人間が生きる過程、その歴史で戦争は何度も繰り返されて、多くの方々がその人生を全うしないうちに亡くなってきました。

 私は今、那須先生が生きていたら、聞いてみたいことがいろいろあります。

 でも、2021年7月16日に意識を失って以後、私からの問いかけに那須先生が答えてくださることはなくなり、同年7月22日からは問いかける機会さえ永遠に失われてしまいました。

 那須先生がお書きになった『夕焼けの子どもたち』(1990年6月25日第一刷発行、岩崎書店)というエッセー集、このうちの『なぜ日本は平和なのか』のなかにこんな記述があります。

 「日本は平和でいられるかどうか。それを決定するのは、政府でも日米安保条約でもない。きみたちの一人ひとりが、戦争を体験した世代とおなじように、いや、もっと強力に、『戦争は絶対にいやだ』と、大きな声で叫びつづけることだと思う。沈黙したとたん、戦争はたちまち、きみのまわりに忍び寄ってくるにちがいない。」

 那須先生の書き残したさまざまな作品がこれからもずっと読み継がれていくことを、私は願っています。

   飯塚宣明

 

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 飯塚さん、コメントをありがとうございました。最後の一文に、那須さんへの想いの全てが詰まっていると感じ、グッときました。『夕焼けの子どもたち』は今は品切れで重版未定とのこと……近くの図書館にもネット販売もありませんでした。岩崎書店さん! 重版をお願いします! 戦争という信じがたい事態に向き合うために、自分たちが出来ることは何かを考えるために、那須正幹作品を読み直さなくては!!

 3・4月号の表紙の那須さんの笑顔があまりに素敵だったので、動画を作りました。那須正幹氏の魅力を語らずにはいられなくなる『日本児童文学3・4月号』が、ひとりでも多くの方に届きますように。

https://d.kuku.lu/09a65600d

 

【お知らせ】

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★Zoomオンライン『日本児童文学』を読む会★

【日 時】 4/15(金)PM6:30~PM9:00

【テーマ】 2022年3・4月号

【ホスト】 奥山恵(編集長・評論家)

【ゲスト】 相川美恵子(編集委員・評論家・研究者)

【申し込み方法】 メールにて megumiokuyama18@gmail.com

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★「日本児童文学」11・12月号 短編作品募集

「日本児童文学」2022年11・12月号は特集「森へ川へ」を予定しています。それにちなんで、「森」または「川」をテーマにした短編作品を募集します!

 協会員内外、どなたでもご応募いただけます。ふるってご応募ください!

 

《作品・募集要項》

▼「森」「川」のどちらか一つを選んで応募してください。

 

【応募資格】どなたでも!!

                      ただし、本誌5・6月号「応募券」を同封すること。

【締め切り】2022年6月末日(消印有効)

【字  数】26字×161行(400字詰原稿用紙換算10枚程度・タイトル別)

     一人一編のみ

【応募方法】〒162-0825

                     東京都新宿区神楽坂6-38 中島ビル502 日本児童文学者協会

                   「日本児童文学」編集委員会宛

                   ※「応募券」の同封をお忘れないようお願いします。

 

◎作品の選考は、編集委員会がおこないます。入選作は本誌に掲載し、所定の原稿料をお支払いいたします。

 

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また、ご報告いたします!

 

山﨑

 

2022/03/24