著作権ガイドQ&A

 
Q 小学校のあるクラスで授業をすることになり、何人かの作家の作品をとりあげることにしました。作品のコピーを配ろうと思っていますが、問題はないでしょうか?
 
A 著作権法には、学校その他の教育機関で、教育を担当する者及び授業を受ける者が、その授業の過程で使用する場合には、必要と認められる限度で、公表されている著作物を、著作権者の許諾を得ないで複製して使用することができる、という規定があり、そのとおり行えば問題ありません。但し、著作物の種類や用途、複製の部数や態様からみて、著作権者の利益を不当に害するような場合は認められないので注意が必要です。たとえば
 
  • 国語の教材として小説・童話・詩集などを全編複製すること
  • 市販のドリルなどを複製すること
  • クラスの児童の数以上の数の複製をすること
  • 製本して長期保存にたえるような形に複製すること
 
などがこれにあたります。
 また著作物の使用にあたっては、作品の題名、著作者名をはっきりと示さなければなりませんし、授業で使用しないところまで複製することはできません。
 ここでいう授業には、教科の授業だけでなく、特別活動や総合的な学習もふくまれるので、担任教師の場合もそうでない場合も該当することになります。
 当日欠席したクラスの児童に、後日そのコピーをわたすことは差し支えありませんが、学校全体で配ったり、教育委員会などで広く利用したりすることはできません。あくまでそのクラスでの授業に使用する目的が大事で、それ以外に使用するのであれば、あらためて著作者の許諾を得なければなりません。
 教育機関には公民館などもふくまれるので、たとえばそこで講座をもった場合にも、受講生に限って同様に著作物のコピーを配ることはできますが、塾や、いわゆるカルチャーセンターとなると、ここで認められている教育機関とはならないので注意してください。
 
 
Q わたしの詩集の中の一編が、見ず知らずの人のホームページにまるごと掲載されていました。著作権侵害ではないでしょうか。また、自分のホームページに発表した新作の著作物はどのように保護されるのでしょうか。
 
A 前段のご質問は著作権侵害にあたるおそれが大きいとおもわれます。きちんとした引用であれば差し支えありませんが、そうなっているか、あるいはあなたの詩集を紹介する形で意を尽くしたものか。そのあたりを見きわめてください。そうでなければ、著作者にことわりなく詩をそっくり載せるのは、著作権の侵害にあたります。ホームページの発信者に削除を求めるなどの請求をすべきでしょう。
 ただ発信者がわからなかったり、削除に応じないということも考えられます。そうしたことをふまえ、インターネットサービスを行っているプロバイダ等が速やかにかつ適切な対応が行えるよう、またその責任を明確にするためにプロバイダ責任制限法というものができました。この法律に基づいて、著作者はプロバイダに対して、発信者の情報の開示や著作権侵害があった時には削除を求めることができることになっています。
 後段についてですが、著作権法では著作者の権利として公衆送信権をもうけています。放送や有線放送など、同一の内容のものを同時に一方的に伝える公衆送信に対して、双方向の機能をもつインターネットは自動公衆送信といわれています。ホームページや、より手軽にできるブログなどはこれにあたります。
 公衆送信権は、どちらも含みますが、とくにインターネットについては、プロバイダなどに送信した段階で著作者の権利が発生する送信可能化権をもうけています。ですからあなたがホームページに発表した作品は、その時点で著作権が発生していることになります。
 
 
Q 市民会館で行われた詩の朗読会で、わたしの詩もとりあげられました。朗読はある劇団所属の方が行い、入場無料でしたが、後日CDにして有料で販売されるとのことです。こうした会での、著作権はどう考えたらいいでしょうか?
 
A 著作権法では、①営利を目的とせず、②聴衆から料金をとらず、③出演者に報酬が支払われない、という三つの条件を満たしていれば、営利を目的としない上演等にあたり、著作権者の許諾を得ないで行えることになっています。ですから朗読会そのものは、著作権が問題になることはありません。
 ただしCDの制作には、詩の作者であるあなたの著作権と同時に、詩を朗読した人、レコード製作者の著作隣接権が別に生じます。CDを制作するのであれば、費用や収益の配分などを関係者で話し合う必要があります。
 なお入場料をとらなくても、会社のショウルームなどで行うものは営利が目的であると判断されますし、チャリティーショーなどの多くは、入場料は福祉や慈善事業に使われ、出演者は無報酬ですが、これは営利を目的としない上演にはあたらないとされ、著作権者の許諾が必要です。
 お話会や読み聞かせ会などでも、複数の著作権が重なっていることがあり、十分注意が必要です。また、児童書出版者・著作者懇談会では、営利を目的としない著作物の利用のために『読み聞かせ団体等による著作物の利用について』というガイドラインを作成していますので、参考にしてください。
 
※問い合わせ…日本書籍出版協会
 
 
 ある編集者に、長年あたためていた作品のアイディアを話しました。ところが一年後にわたしのアイディアそっくりの作品が、作家A氏によって書かれ出版されてしまいました。悔しさと割り切れない思いでいっぱいですが、法律上の問題はないのでしょうか?
 
 残念ながら、編集者にも作者A氏にも、法律上の問題はありません。ただ道義上の問題はのこります。そのあたりを、編集者がどう考えるかということになるでしょう。
 著作権法の対象になる著作物とは、本文でも説明してありますが、「思想又は感情を創作的に表現したもの」でなければなりません。言語を使用した著作物であれば、小説・童話・詩のような文章や講演など、音楽なら演奏や楽譜、美術なら絵画や絵・イラストなどとして具体的に表現されたものにかぎられます。
 あなたのアイディアが、どんなにすばらしいものであっても、それだけでは著作権が認められる著作物とはならないのです。あたまの中で考えただけのものが対象外なのは当然ですが、編集者に話したというのもまだアイディアの段階ですから保護の対象にならないというわけです。
 ついでにいえばタイトルも著作権の対象外です。ときに同じタイトルの作品を見かけることがあるのはこのためです。ただ最近はネーミングといったものまでが商標登録されていることがあります。世の中の慣行にしたがって、だれもが使いそうなものが使えない、ということはありませんが、注意が必要です。
 ところで、アイディアが著作権法の保護の対象になっていないのは、さまざまな表現による新しい作品創造の機会を保証しようという考えがあるからです。ちなみに、「発明」や「考案」などの技術的なアイディアの登録・保護等は特許法、商標については商標法で決められています。
 巻末に記した特許庁のホームページで、どんなものが登録されているかはいずれも検索することができます。
 
 
 出版契約書があるのに印税が支払われません。どうしたらいいでしょうか。
 
 出版契約書には印税の支払い時期が記載されています。そのとおりに支払われないのであれば、きちんと督促しましょう。
 出版契約は、たいていの場合、出版権の設定という形をとっています。出版社はある著作物について、出版という形で独占的に利用できる権利を持つことになります。これに対して、その著作物の著作者は、印税などの収入を受け取ることになるわけですが、出版社はそのほかに、原稿などの引渡しを受けてから6か月以内に出版する、といった一定の義務を負うことになっています。本が出版されたということは、著作者であるあなたは契約を履行しているわけで、それに対して印税が支払われないというのは明らかに出版社が、契約の履行をおこたっているといえます。
 ただ著作者のほうで、さまざまな事情から督促しにくいというケースもあるでしょう。そこで、ケースによってまず担当した編集者に連絡するとか、あるいは直接経理担当者に手紙やメールをおくるなどの働きかけがあると思います。アンソロジーなど著作者が多数で金額が少額のときに、版を重ねるなどある程度まとまってから支払われるというように、勘案すべき事情がある場合もありますが、そうした場合でも事前にその旨著作者に知らせるべきでしょう。
 なお契約書を取り交わしていなくても、印税未払いの理由にはなりません。本が出版されたということは、相互にある取り決めがなされたと認められ、契約書がなくても印税の支払い方法などは標準的におこなわれている条件が準用されると考えられます。
 とはいえ、少なくとも発行部数、定価、印税率、支払方法などは、なんらかの文書(メール、ファックスなども含めて)で、事前に確認されることが必要だと思います。
 出版をめぐり著作者と出版社の間でトラブルが生じた時は、日本児童文学者協会も参加している出版ADR(裁判外紛争解決手続き)を利用することができます。
 
※出版ADR
 電話:03-3222-9055   第三・第四水曜日の13 ~16時
 電話相談は無料  和解斡旋費用:10000円~
 
 
 ある出版社の文学賞に応募したところ、入選はしませんでしたが、三次予選まで残った作品だからと自費出版をすすめられました。自費出版について教えてください。
 
 自費出版を専門とする出版社がいくつかあり、その中で文学賞を立ち上げ、応募者に自費出版をすすめるということをおこなっている社が複数あります。社との共同出版という名目ですすめられる場合もあります。
 出版社によっては、本を出してほしいがために作品を過剰にほめるということもあるでしょうし、作者は冷静に対応することがたいせつです。出版社のすすめに安易にのるのではなく、自分として、ぜひこれだけは本にしたいという一冊に的をしぼり、出版の時期についても、あせらず、熟考すべきでしょう。
 詩集、エッセイ集など、商業出版が困難なもの、創作では歴史もの、戦争にかかわるもの、短編集など、テーマ、グレード、長さなどの点で商業出版にのりにくいものなどが自費出版としての意味が生きる例としてあげられます。自費出版された本で、文学賞を受賞した作品、図書館協会などの選定図書になった作品などもあり、いいものはきちんと評価されています。
 自費出版の費用は、装丁、ページ数、挿絵、写真、編集方針、流通形態等、さまざまな要素によって相当にちがってきます。自分の予算をはっきりさせる、複数の社から見積もりをとる、じっさいに手がけた本を見せてもらう、などをおこなった上でじっくりと交渉しましょう。また編集がていねいでしっかりした本をつくる、といった出版社の力の入れ方も考慮してきめることがたいせつです。
 書店の流通ルートにのせる、新聞や雑誌に広告をだすということを材料に、作者に本が売れるという印象を与えるケースも多いようです。その広告代は出版費用に加算されるわけですが、宣伝が即販売部数にむすびつくわけではないので、過剰な期待はしないほうがいいでしょう。
 
 
 著作者がなくなったときの著作権はどのように継承されるのでしょうか。わたしには妻と二人の子がいますが、そんな場合はどうしたらいいのでしょうか。
 
 著作者の権利には、著作者人格権と著作権(財産権)があります。このうちの著作者人格権は、著作者本人だけがもつ一身専属制といわれる権利で、相続の対象とはなりません。ですから、遺族などが相続するのは、著作権(財産権)ということになります。
 それは、遺言などによる特別の取決めがない場合は、民法の定めによって相続されます。あなたの場合でいえば妻と二人のお子さんが相続人にあたり、三人が著作権者として著作権を承継できることになります。
 ただ、著作物の利用にあたっては、多くの場合著作権者の許諾が必要となります。著作権の相続人が複数であるのは、手続きが面倒となり、わずらわしいことです。となれば、だれかひとりを著作権継承者として特定しておくほうが、著作権者・利用者双方にとって便利であり、のぞましいかとおもわれます。著作権使用料の分配などについては、相続人のあいだで別に取決めておけばいいのです。
 また著作権(財産権)は遺言によるなど承継者を特定できますし、他人に譲渡することも可能です。著作物を特定してそれぞれ承継するものを決める、ということもできます。著作権使用料が相当額になる場合や権利関係が複雑になる場合などは相続人の間で話し合って、著作権がよりよく行使されるようにしておくことがいいでしょう。
 著作者人格権は著作者が死亡すれば消滅しますが、文化の保護という観点からも、死後も著作者の尊厳をおかすことのないように、著作権法では著作者人格権を侵害するような行為をしてはならないという規定をもうけています。遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母)は、そうした行為をおこなったものに、出版の差止めや損害賠償請求などの法的な手段をとることができることになっています。
 著作権の保護期間は死後五十年となっています。しかし、諸外国にならい日本も死後七十年にすべきだという意見もあり、今後の情勢しだいでは七十年になる可能性があります。
 
 
 ある公募コンクールで●●賞を受賞し、賞金を受け取りました。このコンクールでは大賞作品以外は出版されないため、わたしの作品は本になりませんでした。この作品を別の形で世の中に出すことはできないのでしょうか。
 
 コンクールの応募要項を確認してください。公募コンクールの応募要項には、著作権について取り決めが書いてあるはずです。「著作権は主催者に帰属」とあれば、原則として、著作権(財産権)は主催者に譲渡されます。移行するのは「財産権」のみで著作者人格権は譲渡されませんから、主催者は勝手に作り変えたり、他の人の名前で発表したりすることはできません。
 コンクール入選が本の出版を伴う場合は別ですが、その作品をあとから発表、出版したいとなった場合、「著作権は主催者に帰属」とある以上、自分の作品でも主催者の許諾がなければ発表、出版することはできません。実際にはコンクールから一定の時間がたてば相談によって認められる場合もあると思われますが、応募要項をたてにとって「だめ」といわれれば、かなり困難な事態となります。
 応募要項によっては、主催者への著作権の帰属期間が限定されているものがあります。たとえば、「入選作品の著作権は2年間主催者に帰属する」となっていれば、2年間に限定されます。
 いずれにしても、コンクールに応募する際は応募要項をよく理解すること、また入選作品の扱いについて、要項に抵触することでも希望があれば主催者とよく話し合うことです。また、こうしたコンクールの選考委員を引き受ける場合には、応募要項の著作権の条項に関して、積極的に助言を行うことが望まれます。
 
 
 わたしの書いた学校演劇用の脚本は、脚本集の中の一作として出版され、現在、全国の小学校で繰り返し上演されています。先日、首都圏のある塾が入場料をとって、わたしの脚本をもとに、わたしの許可なく劇を上演しました。これは許されるのでしょうか。そもそも多くの学校教師たちは、作者であるわたしに連絡もせず、脚本の作者名を明らかにしないで上演しています。
 
 著作権法35条の規定により、学校の教室内では著作権者の許諾なく公表されている著作物を使用することができます。しかし、著作者には著作者人格権(この場合は指名表示権)があり、脚本の作者名は明らかにされるべきでしょう。
営利事業を展開する塾が脚本を使用するのであれば、もちろん塾は著作権者に許諾を求めた上で著作権使用料を支払わなくてはなりません。
この著作権ガイドに付いている「作品使用についての申込書」をコピーして塾に送付し、塾が演劇を上演するには脚本の著作者の許可をとり著作権使用料を支払う必要がある旨を塾に申し入れてください。
また、その脚本が掲載されている本を出した出版社に連絡をし、出版社からも塾に注意喚起するよう頼んでください。出版社は著作権が守られるよう努力する義務を負っています。
 
 
 

はじめに

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