藤田のぼるの理事長ブログ

25、確定申告のこと(21,2,15)

【今年の確定申告】

◎今年も確定申告の時期になりました。例年は2月16日から3月15日までですが、昨年はコロナの関係で申請期間が一か月延長され、今年も同様に4月15日までとなりました。会員の皆さんの中で何割くらいの方が確定申告をされているでしょうか。意外に少ないのではという気もするので、確定申告についてのイロハを、今回書いてみたいと思います。国税庁のホームページなどを見ればかなり詳しく説明されていますが、逆に煩雑過ぎて分かりにくかったりもするので、わたしたちに関わるような点をメインに書いてみます。但し、僕の理解が正確でなかったり、ケースによって通用しなかったりする場合もあるかもしれないことをお断りしておきます。

◎確定申告をしなければならない人は、二ヵ所以上から給与をもらっている人、給与以外に所得がある人、そして自営の人(もちろん文筆業も入ります)などで、僕の場合は昨年度までは三つの大学の非常勤講師をしていましたから、その三つの条件のどれにも入りました。いつから確定申告を始めたのかは定かではありませんが、協会事務局に勤め始めた30代の頃は多少の原稿料などはありましたが、最初のうちは確定申告はしていなかったと思います。皆さんの中でも、印税や原稿料などの収入があるけれど確定申告は面倒そうなのでしていないという方が、少なからずいらっしゃると思います。それが法律違反で「脱税」になってしまうのかといえば、法律的な建前はよくわかりませんが、実際にはそんなことはなく、「税務署に見つかると延滞金を取られるぞ」というようなことはまずないと思います。なぜなら、税金を払ってないわけでなく、ほとんどの場合、印税や原稿料は支払われる際に10%(基本的に10%ですが、東日本大震災以降、それに加えて「復興特別所得税」というのが若干引かれています)天引きされているからです。それを出版社などが税務署に、本人に代わって(?)払っているわけです。 逆にいえば、わたしたちは知らないうちに自分の収入を10%引かれてしまっている、ということになり ます。

◎ところで、皆さんに出版社などから届く「支払調書」ですが、あれは地元の税務署にも送られます (但し、年額5万円以下は送られません)。ですから、税務署にはあなたが受け取った印税や原稿料は把握されているわけです。では、どれくらいの収入があったら確定申告をした方が無事かというと、これはまったく僕の個人的見解ですが、100万円あたりがひとつのラインのように思います。というのは、100万円以下の場合は、後で述べる必要経費と基礎控除を差し引けば所得金額としてはゼロに近い数字になると思うからです。ですから、概ね100万円以下の場合は、「あなたは収入が あるのに確定申告をしていませんよ」というようなご注意が税務署の方からくることは、まずないように思います。 ただ、逆に言うと、例えば手取り金額が80万円なら上記のように8万8千円引かれているわけですから、確定申告をすればその一部、場合によっては全部が戻ってくる可能性があります。ですから、多少面倒でもやってみようという方は、チャレンジする意味は充分あると思います。

【確定申告の基本的な計算方法】

◎ここで一つ言葉を整理しておくと、まずは「収入」と「所得」です。上記の場合で言えば、収入は80万円ではなく88万8千円です。「年収」というような場合、手取り金額で考えている場合もあるかも知れませんが、正確には税金や保険料など、引かれた分も含めて「収入」になります。では、所得が80万円かというとそうではなくて、収入から必要経費を引いた分が所得となります。サラリーマンの場合は、計算式があって収入から自動的に所得が割り出せるのですが、自営の場合はそうはいきません。仮に売り上げの収入が1000万あったとしても、仕入れに500万かかったりしているわけで、このあたりが計算になるわけです。特に、お店などと違って文筆業の場合は、何が必要経費なのかが漠然としていて、それによって所得が大きく変わってきます。そして、税金というのは、「収入」にかかるのではなくて「所得」に対してかかるので(だから所得税なわけで)、わたしたちが確定申告をする場合、収入からどれだけ必要経費分を引けるかの“勝負”になってきます。

◎僕の場合で言えば、必要経費として、交通費、通信費、交際費、資料費、事務費、会費などを必要経費として計上しています。評論の場合は、例えば3万円の原稿料を得るために資料費が5万円かかるというようなことは充分あり得ます。交通費や通信費などは、どこまでが印税や原稿料を得るために使ったものかは確定が難しいですが、このあたりは広く解釈していいと思います。私たちの場合は、言わばあらゆることが仕事のヒントにもなるわけで。 ともかく、例えばそうした費用が30万円かかったとして、これを上記の場合で言えば88万8千円から引きます。そうすると58万8千円になるわけで、これに対する税額は(ここは金額によりますが、この金額なら5%)29,400円になります。ところが、すでに88,000円(天引きで)払っているわけで、その差額の58,600円が戻ってくることになります。実際には扶養家族がいるかとかで控除額(必要経費とは別に、収入から引かれる金額)が違ってきたりしますが、以上が基本的な確定申告の仕組みです。

 どうでしょうか。最初は結構やっかいかもしれませんが、今はネットで簡単なソフトがあったりするようで、一度やってしまえば二回目からは簡単だと思います。お金の計算が嫌いでない方は(?)チャレンジしてみてください。ただ最初にも書きましたが、僕の経験も限られていますから、正確でない部分があるかもしれないことを、もう一度お断りしておきます。それと、帳簿記載が求められる「青色申告」の場合は、人件費なども必要経費として計上できると思いますが、そうした“本格的”な確定申告は、ここでは想定していないことも、合わせてお断りしておきます。

◎最後に、前に一度書きましたが、確定申告というと、思い出すことを一つ。以前に協会で税理士さんをお招きして、確定申告についての説明会を開催したことがありました。僕が事務局に勤めだしてそんなに時間が経ってない頃ですから、随分前のことです。その時に安房直子さんがいらして、多分安房さんが協会事務局にいらしたのはその時だけだと思うのですが、安房さんの作品世界と確定申告というのはいかにもそぐわない感じで、でも確かにメルヘン・ファンタジーの作家でも、確定申告対策はリアリズムで? 必要なわけですから、それがとても印象に残っています。

2021/02/15