編集部だより

7・8月号の「読む会」ご報告☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。

 

 7月20日(水)に第26回編集会議をZoomで行いました。今回の会議のメインは、「テーマ:森・川」で募集をした短編作品の最終選考です。短編ということで、読む分量もたっぷり! 約2時間じっくりと選考し、掲載作品を決定いたしました! 入選作は11・12月号に掲載いたします。楽しみにお待ちください。惜しくも掲載には至らなかった作品たち……でもその中には、私推しの作品がいくつもあります! 楽しくてつい笑顔になってしまう作品、森や川の美しさに浸れる作品、心に響く言葉もありました。投稿してくださったみなさん、本当にありがとうございました! またどこかでみなさんの物語と出会えることを、楽しみにしています!!

 

 8月22日(月)に、日本児童文学7・8月号の読む会をZoomにて開催いたしました。参加した編集委員の相川さんからのご報告です。

 

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 皆さん、お元気でしょうか。編集委員の相川です。

 さて、7-8号はホラー特集。開始はいつもの通り18時半、今回は特集にちなんで募集した「こわい話」に入選された書き手さんのうち、伊東未夜さん、いまたあきこさん、たかつきせいさんが参加してくださいました。ゲストは編集委員の指田和さんです。それから、小学校の先生、図書館職員の方などなど。あとから、今号にエッセイを寄せてくださった緑川聖司さんも。緑川さん、問われるままに語ってくださるものだから、なんだか、「緑川聖司ミニミニ創作教室」って感じに! すごく得した気分(笑)になれたひとときでもありました。

 

 例によって、司会の奥山編集長から特集についての概要が紹介され、ついで指田さんから「お化け屋敷プロデューサー」の五味さんにインタビューしたときのこぼれ話などを披露してもらいました。ストーリーを作ることがいかにお化け屋敷の可能性を広げたか、ということなんですよね(とはいえ、どれだけ可能性が広がっても、相川は行かない、ダメ、怖い……どうしても……怖い……情けないので小さい字でそっと書いておくノダ…)。

 

 編集委員が総力を挙げた「ホラーブックガイド」には好意的な意見が寄せられて嬉しかったです。「②戦後の名作」を担当した小川英子さんから、大海赫の発掘に至る過程を語ってもらうと、参加者のおひとりから「私、大ファンなんです!」という声も挙がりました。実は、御年90歳を越えられた大海さんからなんとかエッセイ原稿をいただこうと、編集委員全員の期待を背負って交渉に奔走した末あえなく撃沈した奥山編集長から、「あと一歩で原稿が!」までを語ってもらいました。

 ほかにも岩本敏男の再発見や、『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション』『怪談えほん』シリーズで怪談オタクぶりを遺憾なく発揮している東雅夫との出会いなど、悪戦苦闘しただけのことはありました。

 それにつけてもピアス、マーヒー、ウェストールらの巧みなこと。③戦後の名作を担当した奥山編集長曰く、「本当に怖いんだけれど、最後に温もりを感じさせてくれる、必ず希望を添えてくれるところがね、児童文学なんだよね」。

 

 安東みきえさんの『夜叉神川』についても編集委員会のなかでは話題になっていました。協会賞を受賞された時も「だよね!!」って嬉しかったです。『夜叉神川』については、いまたあきこさんが、今号に掲載された安東さんのエッセイを併せて読まれて、お父様との辛い体験があってこその作品ですねと、感慨深げにおっしゃってくださいました。また、たかつきせいさんからは、人の悪意がむき出しになった時の怖さと怪異そのものの怖さ、この二つが重ねられているところが本当に秀逸で、と感嘆の声が。

 

 ところで、話は「こわい話」掌編募集に入選された作家、作品に移ります。伊東さんは、ホラー作品というのは表現者として冒険ができるんじゃないかなっておっしゃっていました。妖怪が大好きだというたかつきさんは、妖怪っていろいろいて、とにかく多様なんです、でも、一歩間違うとそれが転じて凄い災いをもたらす存在になります、そこが魅力なんです、と熱く語ってくださいました。いまたさんからは、結局自分が体験したり知っていることしか書けないですね、という書き手さんならではのつぶやきも。

 参加者同士で作品の感想を交換しつつ、といったあたりで緑川さんが「あっ、ボクね、ホラー書いてるつもりないんです、怪談、書いてるんですヨォ」と。一同、「……?」。

 

 というわけで緑川聖司ミニミニ創作教室が急遽始まったのです。で、さくっとまとめてしまいますが、緑川さんに言わせると、子どもは「怖がりたい」のではなく「面白がりたい」のだ、だから怖さの追求ではなく、いかに子どもを楽しませるか、が大事。というからには何よりもまず、わかりやすさが大切。そもそも、子どもは何回も読み直してくれたりはしないから。と、お金を取って話すような貴重かつ基本的なことを惜しげもなく語ってくださるんです。アッ、もう一つ、何が怖いかって、自分がよく知っている日常生活の中で、何かが起こるのが一番こわいんだよねって。これには「そうそう」って参加者も納得です。「だからね、作家の力を磨くにはうってつけなんです。日常の中に違和感を一つ放り込んだら怖くなるんだから。書く力をつけていくにはいい素材」。緑川さん、それってキギョウヒミツじゃないの?!

 

 そんなこんなで話は続いたのですが、相川は、実はこのあたりから、(この話し合い、どないにまとめたらええんかいな、やばいな、)と自分のことばかり考え始めていました。なので、もしかしたら大切なことを聞き逃しているかもしれません。悪しからず……。

 

 最後に二つ。一つはいつも参加してくださる小学校の先生から、「プレイバック『日本児童文学』についての感想をいただきました。毎回このコーナーを楽しみに読んでいますという前置きに続いて、今回の教科書攻撃問題に関する記述には大変に驚いたし、これは貴重ですね、ということでした。この件はもちろん協会の歴史に残るものです。一歩も引かずに向き合った当時の協会の姿勢を記憶していきたいと思います。

 もう一つは今回の応募原稿について編集委員サイドから。今回いただいた原稿は、残念ながら入選には至らなかった方のものも含めて、熱量があったし、文章の密度も高かったです。そのことに編集者一同、深く感謝し、また、学びました。ありがとうございました。

 

 今回のご報告はここまでです。最後まで読んでくださってありがとうございます。また次回、お会いしましょう。  

 

 相川美恵子 

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 毎回、読み手を飽きさせないテンポのよさで報告してくださる相川さん。ありがとうございました。今回もクスっと笑いながら読ませていただきました!

 

 12月まで、旧・編集委員がブログを担当いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 では、またご報告いたします!

 

 山﨑

 

2022/08/26